ボクの夏やすみ
1975年小学5年生の夏。
近所のおじさん、だけど誰だったのか覚えていない。
『みんな、水着もってこい!』
遊び仲間4~5人をトラックの荷台に乗せてくれ、
初めていくちょっと遠い河原へ。
知らないおじさん達が川辺りでお酒を飲みながら、芋煮してた。
澄んだ川面、冷たい水。材木岩。
流れで削れた水中トンネル。
素もぐりでキラキラ光る魚の群れを見つけた。何十匹も。。
捕まえたい。
息が続かない。何度も何度も潜る。
くちびるが紫になっても、何度も。
冷え切った身体をおじさん達の焚き火で温めさせてもらう。
ずっと忘れない夏の思い出。。。
大人になって、自分で運転する車であの場所をさがす。
似たような風景が、何箇所かある。
潜る、トンネルはない。
あれから、30年。やっと見つけたあの記憶の中の風景。
あの頃と同じように、川辺りではバーべQ。
きれいなテントを張って、親子連れが戯れている。
兄弟の子どもたちを連れて、
前にも一度来たが、トンネルは見つけられなかった場所だ。
シュノーケル、フィンにラッシュガード。
手には近所のコンビニで買った4本ヤス。
おんなじカッコで中3になった息子も一緒に潜る。
完全装備で、材木岩を丹念にさがす。
珍しく高気温が続き、思ったほど冷たくない。
あっ、どんこ!(川ハゼ) 水中でひとり言。
型のいい黒っぽい魚が数匹。
トンネル発見! 奥行き1mちょっと。
3mはあったようだったがやっぱり子どもだったから。。。
魚影はたった数匹。
一番大きな影に向ってヤスを絞る。 かすった。
もがく魚にもう一度打ち込む。
手にぐぐっと響く。人生で初めて魚を突いた。
この香り、鮎だ。
川辺りで見ていた人から歓声が聞こえる。
戸惑っていたが照れながら、高くさし上げる。
鮎が踊る。
たった一匹。
塩焼きして母と食す。
『美味い!美味い!』と喜んでくれる母。 感謝。
この夏の思い出。
~この作品は、2006年近江が郷里に帰ったときの出来事を、
mixiで公開したものを転載いたしました。
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